春の雪 三島由紀夫著

最近映画化されましたよね。そんなことでふと本屋で見かけて手にとりました。物語は大正時代、主人公の美青年 松枝清顕が幼なじみの年上の女性 聡子が宮家に嫁ぐことになり、彼女への自分の恋心に気づき、禁じられた恋愛にふみこんでいく話なのです。三島由紀夫は初めて読んだのですが、読みやすく面白くすらすら読みました。興味深く読めた点として、主に2つ。一つはキャラクター作りが分かりやすい点。例えば、主人公清顕はつっこみできる程、自己チューな男でその当時は感性に生きる変わった美青年、なのですが今読むといるいるこんな奴といったキャラクターです。そして友人の本多は理性を重んじる男で、何故か二人は利害が一致して友人関係を結んでいる。話が進むにつれて、その関係が微妙に変わっていくのですが、文章を読んでいてその人物がどんな性格なのか、そして相手とどのような関係性をもっているのかがとても理解がしやすく、キャラがそれぞれたっている。もう一つは周囲の風景描写。松枝家が主な舞台になるのですが、自然の描写がとても鮮やかで昔の日本はそんなにも美しかったのか驚くほどです。
行定監督もあの文章を映像で再現するのは難しいと行っていたのはわかる気がする。
しかし、映画の予告編みたけれど、聡子との別れのシーンで清顕が列車をおっていくのはありえませんね。
結構映画はティピカルな悲恋ものに書かれているのかなあ?原作もティピカルといえば、ティピカルだけど。